日用品大手の「エステー」は26日、1万円台で購入できる家庭用の放射線測定器を10月20日に発売すると発表した。すでに海外製は2万円程度から出回っているが、高機能タイプは10万~20万円程度する。安価に抑えた秘密は、センサー部分に「サーベイメーターとしては初めて」(同社)半導体チップを利用したことだ。
新商品「エアカウンター」は首都大学東京大学院人間健康科学研究科の福士政広教授が監修。大人の手のひらに収まるほどの小型で丸みを帯びたシンプルなデザインはアートディレクターの佐野研二郎氏が手掛けた。人体に影響の強い空気中のガンマ線を測定、毎時マイクロシーベルトの単位で表示する。
一般の線量計のセンサーに使われているのは、不活性ガスを封入した筒の中心部に電極を取り付けた「ガイガー=ミュラー管」。エステーではこの部分に、シリコン半導体チップを利用することで、コストを抑えることに成功した。
「積算放射線量を測定する線量計では半導体を使ったものがあったが、その場の放射線量を測るサーベイメーターに利用したのは初めて」(同社)という。ただ、そのぶん計測時間が長くなり、10分程度かかるという。
希望小売価格は税込み15,750円。10月20日から関東、東北のドラッグストアやホームセンターなどで販売する。
原発事故による測定器需要の高まりでヒット商品となる見込みから、同社の株価は発表翌日の27日に一時、ストップ高となる前日終値比150円(17%)高の1,035円まで上昇した。(関口威人、形山昌由)