原子力の安全規制を担う原子力安全・保安院が、原子力発電を推進する経済産業省の外局とされている問題で、政府は15日、新しい規制機関として同院と内閣府原子力安全委員会を統合した「原子力安全庁」を環境省の外局として新設することを閣議決定した。来年4月の発足をめざすが、実行力や独立性をめぐっては問題が残る。
原子力安全庁の陣容は500人程度で、原子力安全・保安院や原子力安全委員会から大半の人員が移行するとみられる。両組織の間に緊張感は薄く、北海道電力泊原発3号機の運転再開問題では、安全委員会は11日、判断を保安院に事実上「丸投げ」し、運転再開を容認した。
また、規制官庁として白羽の矢が立った形の環境省だが、これまで原子力発電について同省は「温暖化防止のために着実な推進が必要」との立場を取っており、独立性を保てるのかは疑問の余地がある。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年8月15日