岩手県大船渡市で東日本震災以降、被災者のために毎日「おかず」を配っている地元の民間団体がある。配る先が被災者なら作り手も被災者。延べ配食数は5万食を優に超えた。
3.11三陸気仙復興協議会「さんさんの会」が配食を始めたのは震災翌日。大船渡市内のイタリアンレストランオーナーが自己資金で食材を買い集め、「おかず」を避難所へ届けたのが始まりだ。その後、市民ホールの厨房を借り、約60カ所あったすべての避難所に届けるようになった。調理と配送をするスタッフも20人に増えた。
始めは毎日2000食を炊き出していた。いまでは仮設住宅に移った高齢者、母子家庭、津波で家を失った人などに、毎日350食から530食のおかずを配る。食材は、活動を知った全国からの寄付や、財団法人からの支援金などで賄う。
大船渡市では、市内のスーパーが一部で営業を再開している。だが高台の仮設住宅に住むお年寄りが買い物に出かけるのは容易ではない。「仮設住宅の中には、スーパーまで15キロの距離があり、バスで2時間かかるところがある。手押し車のお年寄りがどうやって買い物にいけばいいのか」(さんさんの会 菊池真吾さん)。
震災後の仮設住宅では、孤独死の増加が懸念されている。おかずを配りながら一人住まいの被災者と会話を交わすことで、自殺防止につなげる狙いもある。
課題は活動資金をどうやってつなぐか。現に9月以降の食材が不足してきているという。菊池さんはツイッター、フェイスブック、ライブドアなどを通じて食材支援を呼びかける。「みなさまのご協力をお願いしたい。ただ、足りているものもあるので、食材を送る前には、必ず電話で何が必要なのかを尋ねて欲しい」(同)と話している。(形山昌由)
さんさんの会のフェースブック
http://www.facebook.com/sansannokai?sk=info
問い合わせ先:080-5949-7833 菊池晶美(きくちまさみ)さん