東日本大震災で被害を受けた公共施設や病院など百カ所に太陽光発電システムを無償で設置する取り組みが行われている。東芝が太陽光パネルなど設備一式と施工費用を捻出し、地元業者が中心になって取り付けを行う。
被災地では、津波で発電設備が被害を受けて電気が供給されない地域が多かった。このため、東芝では太陽光発電システム100セットを無償提供することにした。省エネ設備の施工を請け負うエコシフト技術工事協同組合(東京都)が、設置先の選定や施工などを行う。
発電量210ワットの太陽光パネル(モジュール)12枚を合わせたものを一単位とし、屋根や庭などに設置する。最大2.52kWを発電し、省エネ型エアコンなら2.5台分が一度に稼働可能。発電した電気は蓄電池に充電して、夜間などにも使えるようにする。
5月から施工を開始し、すでに宮城や岩手の保育所や仮設庁舎など9カ所に設置を終えた。大型施設の石巻赤十字病院には120枚の太陽光パネル(25.2kW)と2つの蓄電池を設置する予定で、再び地震などの災害から停電が起きたときにディーゼル発電機のバックアップ用電源として活用する。
エコシフトの関口渉代表は「施工を地元に依頼することで経済効果も生まれる。今後は波をかぶった漁港や、防災拠点となる道の駅などにも設置を進めていきたい」と話している。(形山昌由)