「原発事業のリスクをどう認識し、電力会社への投融資についてどのような姿勢で臨みますか」。福島の原発事故を受けて国際環境NGO「A SEED JAPAN」(ア・シード・ジャパン、東京・新宿)は、質問状を金融機関や自治体など48団体に送付した。
8月15日時点で19団体(うち金融機関15社、自治体など4団体)から回答を受けた。金融機関15社中3社が「投資方針を見直す」と回答した。その3社は三井住友アセットマネジメント、太陽生命、日興アセットマネジメントだった。
3社はいずれもPRI(責任投資原則)に署名した会社だ。これはUNEP FI(国連環境計画・金融イニシアティブ)が掲げた指針で、環境配慮、社会責任などを投融資という金融活動で配慮することを宣言するものだ。
特に太陽生命は「原発問題や個別企業の業績等の影響をこれまで以上に注視するなどリスク管理を厳格化」「慎重な対応を実施」と、明快な姿勢を打ち出した。一方で金融機関15社中12社は、「開示を差し控える」などと回答しなかった。
またこの質問状では、6月末に開催された各電力会社の株主総会において、脱原発に関する株主提案にどのような議決権を行使したかを問うた。この設問には金融機関15社すべてが回答しなかった。
ア・シード・ジャパンの土谷和之理事は「非常にセンシティブな問題だが電力会社のような公共性の非常に高い企業に対する活動にはもう一歩踏み込んだ情報公開を期待したい。今後も金融に関連する組織、団体と対話を続けていきたい」と話している。
(オルタナ編集部=石井孝明)8月19日
A SEED JAPANホームページ 調査結果