花火大会や夏祭りの自粛が相次ぐなか、「商い」の力で復興支援をしようと、立ち上がった商店街がある。東京・大森にあるウィロード山王商店街ら3つの商店街は、「石巻復興フェア」を8月20、21日の2日間開催する。二度蒸しした茶色い麺に半熟の目玉焼きがのった「石巻焼きそば」と、海苔が自慢の「大森焼きそば」の食べ比べも堪能できる。
宮城県石巻市は、世界三大漁場の一つとされる金華山・三陸沖漁場があり、日本有数の水揚げ漁港として栄えてきた。東日本大震災の津波で大きな被害を受け、漁業再開に向けて奮闘しているが、「水産特区」構想などで揺れている。
石巻港で水揚げされた新鮮な魚介類を販売する「三陸おさかな倶楽部」(仙台市)の店長で、津波の被害を受けた津田祐樹さん(30)は、復興支援について次のように語る。
「被災者が人間としての尊厳を持って自立することが大切。『真の復興』は、被災者が働き、社会に参画し、自分で消費できるようになること。仕事をするために必要なのは『商売道具』です」
そこで、ウィロード山王商店街は、「東北にもう一度商店街のある街を」を掲げ、石巻の復興支援に向けて動き出した。4月には、商店街に「義援金ストア」を開設、2日間で50万円を集め、津田さんが代表を務める「石巻復興プロジェクト」(石巻市)に寄付をした。津田さんは、その寄付金を元手に、8月から月に2回、仙台市などで「復興市」を開催している。
石巻復興フェアの目玉は、「石巻焼きそば」(500円)と「大森焼きそば」(200円)の復興焼きそば対決だ。石巻焼きそばは、二度蒸しで茶色くなった生麺と半熟の目玉焼きが特徴である。今回は石巻産の味噌ソースで独自の味付けをした。大森はかつて海苔の養殖が盛んだったことから、ウィロード山王商店街は、海苔をのせた「大森焼きそば」を提供する。
フェアは、8月20日、21日ともに11時から18時まで開催され、石巻直送の鮮魚、牡蠣味噌や缶詰など物産も販売される。夜には盆踊り大会もあり、晩夏の夜を楽しめる復興支援イベントになりそうだ。(オルタナ編集部=吉田広子)