東日本大震災の被災地に、その他の地域の人々が花の苗を育てて贈り、花を咲かせる「ひまわりプロジェクト」。関東一円から宮城県仙台市、名取市に植え替えられたひまわりの苗3000株が大きく育ち、満開の花を咲かせている。被災地では、仮設住宅に住む人々や、小中学校の生徒が、花を一生懸命育てた。
名取市の「美田園(みたぞの)花の広場」では、8月下旬に約1000本のひまわりが一斉に開花した。ここは仮設住宅に隣接し、津波に襲われて家が壊れた被災者が住む。
震災のときに、仙台空港に逃げ込み一夜を過ごした50代の農家の主婦も毎日世話をする一人だ。「仕事がなく先が見えなくてつらいけど、目の前の花が育つとそれを忘れられる。苗を育ててくれた関東の人のため、枯らしてはいけないと思った」と思いを述べる。仙台市では12の公立小中学校の生徒が、学校などで贈られた苗を大切に育てた。
このプロジェクトは、都市づくりをする東京・丸の内にある一般社団法人のエコッツェリア協会がイベント「朝大学」で4月に、被災地のためにできることを話し合って誕生した。花を媒介にして、多くのつながりが生まれた。
美田園では園芸クラブが立ち上がり、植物の栽培、それを使った料理講習会など、文化イベントも行われている。苗を育てた人が、被災地を訪ねて現地の人々と対話をしている。
「季節を問わずさまざまな園芸活動や講習会などを通じ、長く続く取り組みにしたい。復興した被災地に、花にあふれる光景をみたい」。プロジェクト実行委員会の事務局を運営する日比谷花壇の武山直義さんは活動の発展に期待を寄せている。(オルタナ編集部=石井孝明)
花でつながる復興支援「ひまわりプロジェクト」