自然エネルギーのみを供給するドイツのシェーナウ電力会社(シュバルツバルト)がこのほど、「原子力に反対する100個の十分な理由」の日本語版をまとめた。原子力エネルギーの危険性を訴えた冊子で、日本人にも原発の危険性について知ってほしいとの思いから日本語版を制作した。オンラインで無料で閲覧でき、わかりやすい、と注目を集めている。
シェーナウ電力会社は、南ドイツの黒い森に位置し、主婦のウアズラ・スラーデクさんの反原発運動から発展した電力供給会社で、現在は12万人の顧客を誇る。同冊子は、原発がいかに危険であるか、生物や自然に害をもたらすか、利権がからんでいるかについて、「燃料とウラン採掘」「安全基準と健康被害」「エネルギー革命と未来」などさまざまな切り口から解説している。
例えば、河川の高温化については「原子力発電所からの温排水は魚から酸素を奪う」。温室効果については、「原子力からの電気はCO2フリーではない。ウラン採掘やウラン精製、ウラン濃縮には莫大な量の気候変動の原因となる温室効果ガスが排出される」としている。
最終処分場や電気料金などドイツの具体例もあり、日本に当てはめて考えることもできる。文末には「地震の危険性」「故郷の喪失」など、福島第一原発の事故について参照できる項目が列記してある。スラーデクさんは「福島での悲しいできごとが、少なくとも日本の脱原発につながればと願う。高い犠牲を払って得た教訓だ」と話し、多くの人に読んでほしいとしている。(オルタナ編集部=独ハノーバー・田口理穂)
原子力に反対する100個の十分な理由(日本語版)
http://100-gute-gruende.de/pdf/g100rs_jp.pdf
シェーナウ電力会社のホームページ(ドイツ語)