宝島社が9月2日、主要新聞各紙に掲載した全面見開き広告「いい国つくろう、何度でも。」がインターネット上を中心に「属国主義丸出し」と話題になっている。
広告は1945年8月30日、厚木飛行場に到着したGHQ(連合国軍総司令部)最高司令官のダグラス・マッカーサー将軍が米軍機のタラップを降りる瞬間を撮影した有名な写真をそのまま使用。広告の天辺には大きく明朝体で「いい国つくろう~」と記されている。
広告の意図について同社はウェブサイトで「敗戦や災害に幾度となく直面しながら、日本人はそのつど、国を建て直してきた。これほどしぶとく、強い生命力を秘めた国民は存在しない」と説明している。
しかし哲学者の内田樹(たつる)氏はツイッターで「時代の気分は『外から何か思いがけないものが到来して、全部チャラにしてくれる』ではないか」と分析。「自力では日本は変えられない。外からの『強力な介入』によって、厭(いや)でも国のシステムを変えざるを得ないというところに『追いつめられる』ことを日本人は無意識のうちに願っている」と、広告の意図とは正反対の視点から読み解いた。
この他にもツイッター上では「属国根性、依存体質、無反省」「正気の沙汰ではない」「『日本がこんな国になってしまった原点』という意図ならわかる」「日本再占領の幕開け」等々と、広告に批判的なコメントが相次いでいる。
震災の被害と東電原発事故に直面する日本を鼓舞したいと意図したであろう宝島社の広告は、「日本に降り立つマッカーサー」という戦後日本の対米従属の政治体制の象徴ともいえる写真を使用したことで、かえって国民の意識を逆なでした形だ。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年9月2日