東日本大震災と東京電力福島第一原発事故の発生から半年を迎える9月11日、新宿周辺では脱原発を求める大規模なデモが計画されている。そうした中、新宿駅東口のアルタ前広場に登場した、植樹帯の補修工事のための仮囲いが「分離壁ではないか」などと話題になっている。
白く塗装された仮囲いは鉄製で、高さが約3.5m。ケヤキなどが茂る広場中央の植樹帯を囲む形で8月下旬に東京都が設置した。作業を管理する第三建設事務所補修課によれば、以前から柵を乗り越えて植樹帯に入り込む人が後を絶たないため、柵を高くするほか、荒れた植生を手入れするなどの作業を行うとしている。
こうして設けられた仮囲いに対して、ネット上では「9月11日の脱原発デモを規制するための『分離壁』では」などの憶測が飛び交う。6月11日の「新宿・原発やめろデモ」では同じ広場を中心に約2万人が集まった。第三建設事務所では「そうした意図はなく、全く関係ない」と関連を否定する。補修工事の実施は7月中に決定したとのことで、11日の脱原発デモの開催と今回の作業が重なったのは偶然のようだ。
ちなみに「分離壁」とは、イスラエルがパレスチナ自治区を囲んで設置するコンクリート壁などを指す名称で「アパルトヘイト・ウォール」とも呼ばれる。11日のデモの主催者のホームページでは「映像プロジェクターがあれば、脱原発のメッセージなどを投影するスクリーンとして仮囲いを利用できる」と呼びかけている。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年9月8日