原子力発電所59基が稼動し、全電力の80%を原発に依存するフランスで、ここにきて脱原発論が広がり始めた。9月16日には産業大臣が「2025年までに原子力発電を半減する」計画を発表した。
最大野党の社会党前党首も「脱原発」を旗印に上げ、大統領選を優位に進めようとしている。来春の大統領選の結果次第では、フランスが脱原発に大きく舵を切る可能性もある。
9月16日付けの仏ルモンド紙によると、同日、エリック・ベッソン産業相は、フランスにおける原子力発電量を2025年までに半減する計画を検討中だと発表した。
産業相は「代替エネルギーの建設コストとの兼ね合いもあるが、原子力施設をどう維持するかを論証する必要がある」とした。また、「仏アレバ社が開発した新型原子炉EPRを導入しないなら、40年の耐用年数に達した原子力発電所を何に代替していくのか」と強調した。
さらに、「ドイツは脱原発を決定した。同時に電気料金の値上げやガス・石炭発電所開設を受け入れた。次期大統領選挙では、各候補者たちのエネルギー政策が争点の中心になる」と同大臣は続けた。
フランソワ・オランド社会党前党首も負けていない。来春の次期大統領選挙のための社会党公認候補を決める10月の予備選に向けて、減原発を主張している。9月15日の社会党予備選挙第1回討論会では、マルティーヌ・オブリー現党首は「最終的に脱原発」、オランド前党首は「減原発」と意見対立したものの、いずれにしても、原発を削減していく方向には変わりない。(チューリヒ 岩澤里美)