大津波で被災した漁村で、復興の一助として女性たちがミサンガを製作・販売する動きが広がっている。石巻市の海辺でも、漁網の修理に使う補修糸を使ったミサンガづくりが春から始まり、夏には各地の野外イベントなどで販売され、好評を博した。
石巻の雄勝町と牡鹿町では、それぞれ10人前後の女性がミサンガを製作している。作り手の個性を反映した多彩なデザインや配色が特徴だ。ミサンガは切れたときに願いが叶うとされるが、このミサンガは結び目まで漁網の補修糸でできているので、まず切れない。石巻と購入者とを「切れない」絆で結びたいという浜の女性たちの思いが込められているという。
これまでの販売は、イベント会場に駆け付けられない製作者に代わって東京のボランティア団体「トモノテ」などが代行した。1本1000円で販売し、売り上げ全額を製作者に届けた。
どちらのミサンガも、地元の女性が主体となって独自に作り始めた。雄勝町名振地区では、和裁が得意な女性たちが、避難所で「マザーミサンガ」を商品化した。8月の「ライジングサン・ロックフェスティバル」(北海道)などでの好調な売れ行きが励みとなり、今も仮設住宅で製作を続けている。
牡鹿町では、もともと漁網でミサンガを編んでいた女性を中心に、漁協の女性部で製作が始まった。「漁網100%ミサンガ」として、8月には野外ロックフェスティバル「モンスターバッシュ」(香川県)などに出店。販売ブースは1点もののミサンガを熱心に選ぶ若者でにぎわい、購入客からは「とにかくカワイイ」「東北を支援できるチャンスを待っていた」という声が聞かれた。
今後も主にイベント会場で販売する。マザーミサンガは、9月19日の「混浴温泉世界カフェVol.1」(神奈川県)、10月1日、2日の暁星中学高等学校の文化祭(東京都)、10月8日、9日の「ワールドフェスタ・ヨコハマ2011」(神奈川県)、 11月22日の「mother dictionary 秋の会」(東京都)などに、牡鹿町のミサンガは、9月22-25日のサーフィン大会「JPSA震災復興支援チャリティーツアー2011」(千葉県・一宮海岸)などに出店予定だ。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)