![外観2011中之条B_AT_DSC_0011](https://cdn.alterna.co.jp/wp-content/uploads/2011/09/24143452/12adcc6c91ef30ef2f58741566e35658-300x200.jpg)
地域おこしと言っても、東京の専門家が主導権を握る例は多々ある。地域開催のアートフェスティバルも似た状況にある。美術展「中之条ビエンナーレ」がユニークなのは、雇用創出とも連動した地元発信型にある点だ。
本展は群馬県中之条町という山間部で2年に1回開催される美術展で、今年で3回目。総合ディレクターを務める山重徹夫は湘南在住のデザイナーだったが、この地に惚れ込み、移住して本展を手がける。彼に引っ張られて若いスタッフ、作家も住み着き始め、典型的な過疎地に変化が起きた。
![鈴木2011中之条B_AT_DSC_0244](https://cdn.alterna.co.jp/wp-content/uploads/2011/09/24143448/c33c0f472aea58759101f4a6ad1275c9-300x198.jpg)
2009年の開催時は来場者16万6000人、経済効果は2億2000万円という。2010年7月には町営の総合センター「tsumuji(つむじ)」がオープン。事務局のほか高感度のカフェやショップを併設。独自開発のアーティストグッズはきわめて珍しい。カルチャースポット出現は、文化の仕事創出につながる。移住作家にはデザイン系の公共事業発注もある。
![ガラス2011中之条B_AT_DSC_0490](https://cdn.alterna.co.jp/wp-content/uploads/2011/09/24143444/b01ac7ddbe85229ae79352ec95e96886-300x198.jpg)
中央のスター作家の地方巡業という側面が、今人気の地域アート展にはある。名目だけの地域文化だ。本展では、中央画壇の権勢・情実を排し、独自選定の作家にじっくり滞在制作してもらう。ボランティアには地元のお年寄りが多く(1500人)、都市部にありがちなアートファンや美大生ではない。本当の意味での地元発信の精神が息づく。
今年は125作家の作品を、さしわたし20キロメートルの広大なエリアに展開。現代アートに彩られた奥深い森、レトロな町並み、古びた廃校は、壊し、建設するだけが開発ではないと教えてくれる。(アライ=ヒロユキ)
![前夜祭2011中之条B_AT_DSC_0184](https://cdn.alterna.co.jp/wp-content/uploads/2011/09/24143440/2c8d8ee1a7f7c0e7389cb2dc15aa17ea-300x198.jpg)
「中之条ビエンナーレ2011」
8月20日(土)〜10月2日(日)
9:30〜17:30 木曜定休/入場無料
群馬県中之条町 町内43ヶ所(総合受付:tsumuji)
中之条町役場「中之条ビエンナーレ実行委員会」 TEL 0279-75-8802(平日のみ)