茨城県東海村の村上達也村長が福島第一原発事故後、「脱原発」の姿勢を強めている。11日には都内で細野豪志原発問題担当大臣、中川正春文部科学大臣と相次いで会談し、「東海第2原発は廃炉にすべき」「半径30キロ圏内に100万人が住み、避難計画策定は不能」などと訴える文章を提出した。政府側からは回答がなかった。
同村は1978年運転開始の日本原子力発電・東海第二発電所(原子炉1基)を抱える。これは現在定期点検中で、運転を停止している。また日本最初の商業用原子炉である原電・東海発電所(原子炉1基)が、同村で1965年から98年まで運転。98年には同村の核燃料加工施設で臨界事故が起こり、作業員2人が放射能の影響で死亡した。
東海村は村の2009年度の歳入約199億円のうち原子力施設に関連する歳入は約60億円と3分の1近くを占める。地元からの報道によれば、村長の言動には賛否両論が村内では出ているという。原発立地の自治体では原発への対応をめぐる議論が活発化しており、「原子力の村」として知られる東海村の動向は、それに影響を与える可能性がある。(オルタナ編集部=石井孝明)