フランスの環境政党「緑の党」のエヴァ・ジョリー大統領候補(68)が来日した。福島の震災・原発被災地を視察後、10月22日に都内で記者会見を行った。
「緑の党」は、原発問題だけでなく、持続可能な社会実現を目指す組織だ。欧州だけでなく、世界各国に存在する。
多くは影響力の小さな政党だが、スウェーデン、ノルウェー、イタリアの「緑の党」は既存政党が無視できないほどの規模に成長した。
中でも、「ドイツ緑の党」の躍進は目覚しい。2011年の地方選で大躍進した結果、メルケル政権に、2022年までの脱原発を決定させた。
ジョリー大統領候補は「他国と同じく、わが党が大統領選で勝つ者が当選する可能性は低い。だが、各国の『緑の党』が連帯すれば、社会変革の大きな潮流となる」と述べ、共闘を呼びかけた。
また、「日本人には期待している。2度の原爆と原発事故を経験した。原子力の恐ろしさを伝えることのできる唯一の国だ」(ジョリー大統領候補)と語した。
世界第2位、第3位の原発保有国がフランスと日本である事実にも言及。「原発大国である我々は原発推進派を抑え込む必要がある。脱原発社会の実現は可能だというメッセージを世界に発信するためだ」と両国が果たすべき役割を強調した。
来日直後に、被災地を視察したジョリー大統領候補は「悲しみと怒りに襲われた」「政府やマスメディアが垂れ流す『地域は安全』という情報を信じている住民の数は想像以上だった」と衝撃を受けた様子だった。
さらに「ガイガーカウンターで測定した放射能は毎時200マイクロシーベルトを超えていた。その中で、日常生活をおくる住民の姿は異常に映った」と現地での様子を振り返った。
その後登壇した「みどりの未来」のすぐろ奈緒代表は、「緑の党」との共同声明を発表。「各国の『緑の党』との連携を深めるためにも、2013年の参議院選挙へ挑戦する。一議席でも多く獲得し、行動を共にしてきたNGOやNPOの活動を国政に持ち込む」と意気込みを語った。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)