世界で、買い物をしない日(Buy Nothing Day)運動が広がっている。1年に1日だけ、本当に必要なもの以外は買わずに過ごしてみようという日だ。
1992年にカナダで始まり、世界65カ国で150万人以上が参加する運動にまで成長した。今年で20回目を迎える。
この運動は、環境やゴミ問題の原因である過剰消費に焦点を当て、人びとにライフスタイルを少しでも変えてもらおうという目的で始まった。あまり知られていないが、実は日本でも97年に始まっている。
日本国内組織である「無買デージャパン・ネットワーク」のガビ・ハード代表が京都で無買デーを開催して以来、ホームページを立ち上げ仲間を集ってきた。
「私たちは一度、生活をスローダウンさせる必要がある。無買デーを通じて、この精神を広げていきたい」――ハード代表はそう語る。
幼い頃から母国オーストリアで環境教育を受けてきたハード代表は「分別収集を行わずに、何でも燃やす京都のゴミ政策に強い違和感を覚えた」と振り返る。
日本での運動について、ハード代表は「私たちに中心団体は必要ない。参加者の自発性を尊重したい。高い問題意識を持っていても、その集団のイデオロギーを嫌う人もいる。そういう人が気軽に参加できる受け皿でありたい」と語る。
ハード代表は無買デーのことを「入口」と表する。「環境問題にせよ、エネルギー問題にせよ、個人の努力で解決できるものではない。元凶は政策や企業活動が人びとを『消費中毒』にしていることだ。『無買デー』という入口を通じて、人びとに大量消費と諸問題の関係に気づいて欲しい。彼らがそこから別の運動を発展させていくことで世の中は変わる」と期待を込める。
北米およびアジア諸国では、クリスマスのショッピングシーズンの初日に開催される。小売業の1日あたりの売り上げが最も高い日だ。日本では、11月26日(土)に15回目の開催が決定している。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)