
メイドカフェやアニメなど、いわゆるサブカルチャーが花咲く秋葉原。9月末には駅前に「AKB48カフェ&ショップ秋葉原」が開店し、10月末にはラオックスのザ・コンピュータ館の跡地に「AKIBAカルチャーズZONE」が全館開業した。一方で、従来の電気街らしい文化も健在だ。徒歩圏内に科学遊びの拠点が点在し、ひそかに人気を集めている。
1947年創業のマルツエレックは、電子部品などを販売するマルツパーツ館秋葉原2号店2階の「メイク館」(東京都千代田区外神田1-6-6)で、2005年から「電子工作講座」を開催している。各回とも専門家が講師を務め、最大14人の希望者に有料で工作を教える。技術系のセミナーから、センサーを使った子ども向けのおもちゃの組み立てまで、内容は幅広い。東日本大震災後に開催したガイガーカウンター作りの講座には、大きな反響があったという。
1918年創業のナリカは、2005年に本社(外神田5-3-10)で「科学のおみせ サイボックス」を開店した。同社が長年扱ってきた学校向けの理科実験教材やオリジナルの科学おもちゃの他、サイエンスプロデューサーの米村でんじろう氏が考案した木炭電池づくりや磁石遊びのキットなどを販売。学校の先生や子どもも来店できるよう、土曜も営業している。
「はんだづけカフェ」は、廃校になった中学校を活用したギャラリー「3331 Arts Chiyoda」(外神田6-11-14)にある。電子部品を輸入販売するスイッチサイエンスが事務所の隣に2010年に開設した。カフェといっても飲食物の販売はない。工具や高性能はんだごてが無料で使える出入り自由の工作空間で、各自が電子工作キットなどを持参し、ものづくりを楽しんでいる。
観光庁の発表によると、震災の影響で4,5,6月は海外からの観光客が減少し土産品の購入額も各費目で軒並み前年同期比約4割~6割の落ち込みを見せた。しかし「マンガ・DVD・アニメ関連商品」だけは1.5割減に留まり、飛び抜けて下落率が低かった。海外からの支持も得て、新しい文化が勢いを増す秋葉原。それでも、科学やものづくりが好きな子どもや大人のメッカとして、多くの人材を育んできた電気街としての役割も、まだ失ってはいない。(オルタナ編集部=瀬戸内千代)