人材派遣から農業などに事業を拡大するパソナは11月11、12日の両日、東京本部(千代田区大手町)で同社の環境事業を紹介する「パソナグリープ エコ博」を初めて開催した。
再生可能エネルギーに関するシンポジウム、同社の農業・環境保護、震災復興協力の取り組みの紹介などを行った。またパソナ会長を務める元国務大臣で慶応義塾大学教授の竹中平蔵氏と「100万人のキャンドルナイト」などを企画したソーシャルクリエーターとして活躍する文化人類学者で京都造形芸術大学教授の竹村真一氏による基調講演があった。
国務大臣として金融、郵政改革の指揮を行った竹中氏は「震災は悲劇ではあったが日本の力が示されたことに注目すべきだ」と強調。
2万人近くの人が津波で亡くなったが、早期警報と「津波から逃げろ」という土地の伝承によって推計40数万人の人が避難で助かったこと、ガス、鉄道、原発以外の電気事業の技術力で二次災害が少なかったという例を示した。
竹中氏は今年9月に中国の大連で行われたサマーダボス会議で世界のリーダーたちに、被災した東北の青少年が体験を伝える取り組みを紹介。現在16歳の少女が、津波の第2波から逃れる逃げるため母親と生き別れ、苦悩しながらも懸命に生き続ける姿を取り上げた。
「こうした人々が支える日本の素晴らしさに目を向けよう。日本の再生で環境は大きなテーマになる」と強調した。
これを受けて、竹村真一氏は「科学の知識が広がる中で、地球が宇宙全体の中で希有な『有り難い星』という存在であることが分かった」と説明した。
そして日本は火山、地震など過酷な災害がある一方で、そのために土地が肥えて豊かな植生と天然資源を持つ「有り難い星の中の有り難い列島である」と、日本の自然を讃えた。
そして「人類の文明の未熟さゆえに、さまざまな問題が噴出している。同時にこの危機は、その未熟さを改めるチャンス」と強調。
世界の風力、太陽光発電など、技術革新で世界が変わりつつある事実を示しながら、「未来には希望がある」と指摘した。
会場となったパソナ東京本部は、壁面緑化や屋内での稲作や野菜作りなど、東京の新名所だ。エコ博では同社の農業支援の取り組みなども紹介された。(オルタナ編集部=石井孝明)11月16日