「原発国民投票」について特集を組んだ『通販生活 秋冬号』のCMが、テレビ局から放映を拒否されたとして話題になっている。
発行元のカタログハウスはテレビ朝日1社から拒否された事実を認めつつ、「局側に抗議などはしない」と冷静だ。
しかし市民からは「テレビ局は民主主義を否定するのか」「テレビはもう終わった」などの怒りの声が上がっている。
CMは俳優の大滝秀治さんのナレーションで「原発、いつ、やめるのか、それともいつ、再開するのか。それを決めるのは、電力会社でも役所でも政治家でもなくて、私たち国民一人一人。通販生活 秋冬号の巻頭特集は、『原発国民投票』」とのメッセージが流れる。背景は黒一色、BGMもないシンプルな30秒の映像だ。
同社によれば、通販生活のCM枠として唯一確保しているテレ朝の「報道ステーション」用に11月から放映するため制作された。
ところが10月末に広告代理店を通じて放映できないとの判断が伝えられ、急きょ別の映像に差し替えた。
同社広報室は「断られたのは事実。理由は知らされていないが、原発について国民的議論がなされているときに大変、残念。しかし決まってしまったことは仕方ない。当社のメッセージは発信したいと、ホームページではそのまま流している」と説明する。
コラムニストの天野祐吉さんが自身のブログで「テレビは政治的な意見広告を扱わないことになっているので判断したんでしょうが、さて、どうなのか」と映像のリンクを張って明かし、ネット上で波紋が広がった。
天野さんが担当する23日付朝日新聞のコラム「CM天気図」でも「こういうのって商品広告であって、別に意見広告じゃないと思うけどね」と批判している。テレ朝広報部は取材に対して「CMについては民放連放送基準をもとに考査、判断している。当該CMは放送していないが、個別の判断理由はお答えしていない」とコメントした。
民放連の放送基準は広告の取り扱いについて「係争中の問題に関する一方的主張または通信・通知の類は取り扱わない」などと定めている。(オルタナ編集委員=関口威人)