九州電力玄海原発2・3号機の運転再開をめぐる「やらせメール」問題で、朝日新聞は23日、同問題での第三者委員会の調査中に九電の原子力発電本部副本部長が関連証拠を廃棄したことについて、真部利応社長が「自分には関係がないし、責任も取りようがない」と8月9日に語ったと報じた。発言の事実について九電広報室は「わからない」としている。
真部社長の発言は、第三者委員会の報告書に対する九電の質問状への、郷原信郎委員長(当時)ら元委員3人が作成した回答書類の添付資料として郷原氏が公開したメモで発覚。同社長と郷原氏との電話で語ったとされる。
この中で、真部社長は郷原氏から「社長として責任ある対応をすべき」と詰め寄られ、「副本部長がやったことで自分には関係ない。自分はどうせ辞める人間だから責任なんか取りようがない」と応じた。驚くべきことに当時、真部社長は酒に酔っているようだったという。
郷原氏は真部社長の発言について、24日にツイッターで「信じられないでしょうが真実です。私もその時から九電社長に対する見方が変わりました」と明かした。
また郷原氏は続けてツイッターで「その時発覚した証拠廃棄は、原発事業本部の副本部長の指示で組織的に行われたもので、社員からマスコミを通じての情報提供で廃棄寸前に証拠を確保できた。それらの証拠の中には、佐賀県公開討論会での社員による『仕込み質問』の質問原稿や配席表も含まれていた」と経緯を説明。
そして「重大な組織的調査妨害が発覚し、会社側の了解を得て私が緊急記者会見を行うことになり、社長会見要求も必至なのに(社長と)なかなか連絡がとれず、ようやく電話がつながった時点での発言。私も愕然としました」と、当時の心境を語った。
今回の報道を受けて、玄海原発プルサーマル裁判の会の石丸初美代表は24日、「九電は市民の命を預かっているのに、その自覚が全くない」と厳しく批判した。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年11月24日