「収入は10分の1。それでも『命』を守りたかった」――山本太郎氏(俳優)インタビュー

■子どもの人権擁護団体はなぜ原発に無関心なのか

――ドイツの記者からも、グリーンピースをはじめとする市民団体の力がドイツ政府を脱原発に向けて大きく動かしたと聞いています。

山本:フットワークが軽いですよね。3.11の時、「グリーンピースなにやってんねん」、「何も聞こえてけーへんぞ」とイラっとしていました。でも、違いました。彼らはきちんと根回しをしていたのです。オランダ政府に掛け合い、放射線測定の専門家に協力を要請していました。

3.11以降、本当の姿をさらしたのは、国だけではありません。人もそうだし、団体もそうです。それまで、グリーンピースは誤解されていました。でも、震災をきっかけに彼らの本当の姿を見てもらうことができた。それはサポーターとしてすごく嬉しいことです。

その一方で、アムネスティ・インターナショナルやヒューマン・ライツ・ウォッチといった世界中の人権に目を光らせていたはずの団体が、福島の子どもたちの問題に関しては大きなアクションを起こしていません。その事に対して、本当に強い憤りを覚えます。

日本で起こったことに対して声を上げる事ができない団体ならば、日本に支部を置く必要はありません。僕はヒューマン・ライツ・ウォッチの土井香苗代表宛に何回かツイートを送りました。

「福島の子どもたちの命が脅かされているのに声を挙げない理由を教えて下さい」「外国での活動は素晴らしのことは認めるけれども、どうして声をあげないのですか」と。

返事はありませんでした。皆さんの寄付から成り立っているのにやるべきことをやらない団体に対しても、政治家と同様、明確な回答を求める必要があります。是非、オルタナが切り込んでください。

ただ、そういった規模の人権団体でも活動を躊躇するほど、原子力産業の闇は深いです。
だからこそ、世界中のセレブ、例えば、ハリウッドスターたちはダルフールやチベット問題に関しての発言はするけど、日本の原子力に関して、そしてそれによる不利益を被った子どもたちに対しては何も言わないですよね。

他国でおこった大量殺戮に関しては手をさしのべるのに、日本で現在進行している大量殺戮に関しては声をあげない。それは、彼らも不利益を被るからだと思います。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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