福島県の佐藤雄平知事が県内の18才以下の子どもの医療費を無料化するよう政府に求めている問題で、野田佳彦首相は8日、福島県内で記者団に対して「大変重要な課題だ」として政府内で検討する考えを示した。
福島県内では東京電力福島第一原発事故以降、浜通り地方の住民が大量に転出するなどした影響で、昨年3月1日から12月1日までの間に人口が約3万9千人も減少。減少幅は過去最大になる見通しで、野田首相と会談した佐藤知事は「安心して子どもを産み育てられる、その感動は福島の復興に極めて大事」と語り、子どもの医療費の無料化で人口流出を防ぎたい考えを強調した。
この問題をめぐって福島県南相馬市の大山弘一市議は9日、自身のブログで「(子供の医療費が無料になることで、厚労省が医療費の助成と疫学調査を行う)『小児慢性特定疾患』への申請が不要になり、福島県だけ申請データが集まらなくなる」と指摘。低線量被ばくと病気との関連性を調べるための疫学統計が取れなくなるとの懸念を示した。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年1月10日