福島や宮城など被災エリアの障がい者福祉施設で作った商品を販売する「ミンナDEカオウヤ」を支援する動きが広がっている。
被災地の障がい者の収入確保と雇用促進が目的で、常設の取り扱い店舗も北海道から鳥取まで28店に増えた。被災地に行かなくても現地を支えられる新しい取り組みだ。
最初の常設店舗ができた梅田スカイビルでは、飲食店6店舗で宮城県の福祉作業所「登米大地」で作った油麩を使い、宮城を代表するB級グルメを味わう「油麩丼」フェアを2カ月間開催した。
物販だけではなく東北の文化の理解促進にもつながっている。12月20日現在で、福祉施設の仕入先は59事業所312商品に広がり、プロジェクト全体の売り上げも3000万円を超えた。
同プロジェクトを中心的に運営するインサイト(大阪市)の関原深代表は、義援金ではなく「買う」という経済活動に意味があると語る。均等配布される義援金と違い、直接より生活が困難な障がい者の工賃になり、消費行動は持続性があることがその理由だ。
「ミンナDEカオウヤ」プロジェクトは、12月から被災地での障がい者雇用を進めるアイエスエフネット(東京都港区 代表:渡邉 幸義)と業務提携を行った。アイエスエフネットは2012年4月に被災地で障がい者の雇用を目的としたコンタクトセンターの立ち上げを予定している。
企画、販売、業務の仕組みづくりを共同で行うことで、販売と雇用の両方を促進し、2012年4月には「ミンナDEカオウヤ」プロジェクトとして累計5000万円の売り上げを目指すという。
インサイトの関原代表は「活動の広がりは期待通りですが、まだまだ問題は山積み。例えば卸売りの経験のない事業所、既存の事業所が流された所などが事業の基盤を作るのは容易ではありません。また震災から一年が過ぎると急速に支援の機運が下がるのではないかと心配しています。私たちは市場の創造だけでなく、研修や新事業の提案も行いながら、最低でも3年間は支えることで被災地の経済基盤を作りたい」と語る。(オルタナ関西支局=神崎英徳)