1枚単位で分譲したソーラーパネルを使って山間部などの平地に中規模の太陽光発電所を建設し、発電で得た売電収入をオーナーに還元するユニークな取り組みが、東京の環境企業によって始まった。
日照条件の良い山梨県北杜市に第一号の設置を進め、4月から稼動する。個人や法人単位で太陽光発電を採用する動きが増えているが、分譲型にするのは珍しい。
分譲型太陽光発電所を設置するのはグリニッシュ(東京都世田谷区)。太陽光パネル1枚当たり6万円でオーナーを募り、必要枚数が販売された時点で発電所を設置する。
発電した電力は1キロワット当たり40円で電力会社に売電し、そこで得た収益から管理費用として1割を引いた額をパネルオーナーに還元する。
同社が試算した収益の目安によると、200ワットのソーラーパネル10枚を使用した場合の売電収入は年額10万915円。このため、およそ6年で購入金額の回収が可能となる。
ソーラーパネルの出力保証は25年だが、保証が切れても発電は続けるため、その後も収入は得られる見込み。発電量は天候にも左右されることから、日照時間が基準値を下回った場合に差額を補償する保険もオプションで用意するという。
第一号の発電所は、山梨県北杜市の約2000平方メートルの敷地に100枚の太陽光パネルを敷き詰めて設置する。すでにソーラーパネルは完売し、まず50枚の設置が終了した。今月中に東京電力と接続し売電を始める。残り50枚は3月までに設置し、22キロワットの太陽光発電所が完成する。
屋根上ではなく平地に太陽光パネルを設置することで、メンテナンスのコストを抑える狙いがある。また、「設置角度を年に数回変えて、発電効率を高めことができる」(同社)という。
同社では50キロワット程度までの中規模発電施設に的を絞り、今年中に休耕田や無人別荘地など70カ所に太陽光発電所を設置する予定。吉田愛一郎社長は「ソーラーパネルのオーナー制度を活用して地域のローカルグリッドを実現し、エネルギーの地産地消を目指したい」と話している。(オルタナ副編集長=形山昌由)