政府の原子力委員会は26日午前、新たな原子力政策大綱の策定のための12回目の会議を都内で開き、トラブル続きで停滞する核燃料サイクル事業の今後の方向性などについて議論を行った。
電気事業連合会会長で関西電力社長の八木誠委員は「使用済み核燃料は貴重な資源で、核燃料サイクル事業を揺るぎなく進めたい」と語り、日本原燃が青森県六ケ所村の核燃料再処理工場で進める再処理試験などに引き続き取り組み考えを示した。
これに対して金子勝委員(慶応大学教授)は「電気料金に再処理費用を上乗せできる現在の仕組みでは、再処理事業は不透明さを増す。これまでに十数年、18.8兆円かかっても実現していないのになおも事業を進めるのはモラルハザードにつながる。停滞している原因を究明して、どういうことになっているのか国民に説明を」と反論。八木委員は「核燃料サイクルは国策」と突き放したものの、六ヶ所村の再処理試験をめぐっては「最終段階に入っており、慎重に確実に実行していく」とあいまいな回答に終始した。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年1月26日