東京電力福島第一原発事故で、政府の原子力損害賠償紛争審査会が自主的避難などにともなう損害賠償の対象外とした福島県内の26市町村の代表などが25日、東京電力本店を訪れ、賠償の対象となった23市町村と同様、確実に賠償を行うよう申し入れた。東電の西沢俊夫社長は「誠意をもって賠償に対応したい」と答えた。
審査会は昨年12月6日、福島市や郡山市、相馬市など23市町村を対象に、自主的避難などにともなう損害を賠償するとの指針を発表。これに対して、対象から外れた白河市などの自治体の首長が1月18日、原子力損害賠償対策本部を結成した。
同日は対策本部長を務める白河市の鈴木和夫市長が西沢社長と面談。「対象から外れた理由が理解できない。対象区域と対象外の区域に、どれほどの差があるのか」と訴え、対象外地域の損害も確実に賠償することを求める要求書を手渡した。
また、面談には福島県の南部に位置する塙町の菊池基文も同席。「福島を分断することは許されない」と語り、政府の対応を批判した。
菊池町長は塙町ら4自治体で構成する衛生組合のし尿処理場から発生した汚泥の焼却灰をドクロマークが描かれた容器に入れて持参。焼却灰からは1キログラム当たり8千ベクレルの放射線量が検出され、約3トンが処理できずに処理場の車庫で保管されているという。
26日の河北新報は「この灰は捨てる場所がなく、成仏できない。花咲かじいさんは木に灰をまいて花を咲かせたが、この灰は人を滅ぼす。白河、会津地方は蚊帳の外に置かれたが、われわれはこんな恐ろしい灰とともに生活している」との菊池町長の言葉を伝えている。町長は持参した焼却灰を「記念品だ」として東電役員に手渡した。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年1月26日