東京電力福島第一原発事故を踏まえて実施される日本の原子力発電所のストレステスト(安全審査)の有効性を調べていたIAEA(国際原子力機関)の調査団は31日、審査の手法について妥当とする報告書を経済産業省原子力安全・保安院に提出した。
同調査団のジェームズ・ライオンズ団長は「原子力安全・保安院の審査はIAEAの基準に準拠しており、国際的な安全基準にも従っている」と語り、同院のストレステスト手法を評価した。
日本政府のストレステスト基準にIAEAがお墨付きを与えた形だが、今回の報告書は個別の原子炉の運転に関する許可とは無関係で、再稼働に向けて原子炉が立地する地元の合意と政治判断が必要な状況は変わらない。
ストレステストを評価する政府の委員を務める後藤政志氏は27日、会見で「一度に1つの自然災害しか想定しておらず、福島第一原発で起きたような設備故障や人為的ミスは考慮されていない。審査もお手盛りだ」と問題点を指摘している。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年1月31日