汚染木材で四畳半の部屋、林野庁「問題なし」と試算

 

林野庁が示した汚染木材で囲んだ四畳半の部屋の図解

放射能汚染された木材で囲まれた「四畳半」の部屋で暮らしてみたら-。

東京電力福島第一原発事故を受けた森林調査の一環で、林野庁がこうした想定で被曝量を試算した。

福島県内における調査で最も高濃度だった1キログラム当たり406ベクレル(Bq/kg)の汚染木材で囲まれても、年間被曝量は0.01ミリシーベルト(mSv)にとどまり、一般人の許容限度とされる年間1mSvや、日本人が年間に浴びる自然放射線量の1.5mSvを下回り、安全だと強調している。

試算は林野庁が昨年12月、森林内の放射性物質の分布状況調査結果を公表するのに合わせ、放射線医学総合研究所(放医研)の協力を得ておこなった。

記者発表時は口頭で数値などを読み上げたが、その後に福島県内のマンションで汚染コンクリートが使用されていた問題が発覚したため、年明けの1月27日の記者発表であらためて図を用いて説明したという。

仮想の「四畳半部屋」は床、壁、天井の6面すべてが木材で、窓や扉はない。床と天井は厚さ3cmの板材、壁は厚さ12cmの角材で構成。居住者は厚さ5cmの布団を敷いて、一日の8割を部屋の中で過ごすと仮定した。

実際の森林調査は昨年8月から9月にかけて福島県大王村、川内村、只見町の3カ所で実施。土壌や落ち葉、樹木の葉や幹などの放射性セシウム濃度を測定したところ、原発に最も近い川内村で伐採したスギの幹の辺材(外側の材)から最高406Bq/kgのセシウムが検出された。

この数値を計算式に当てはめると、居住者の被曝量は毎時0.0014マイクロシーベルト(μSv)、年間換算で約0.01mSvという結果になった。

同庁木材産業課は「同様の計算はIAEA(国際原子力機関)が過去におこなっており、これを日本で一般的な四畳半の部屋として試算した。

あくまで森林調査の結果をわかりやすく説明するためで、木材の流通の基準や指針をつくるためのものではない。仮に今後の調査でさらに高い濃度が出たら計算し直すことになるだろう」とする。

一方、木材関連事業者でつくる全国木材組合連合会は、この試算結果を会員に提供。尾薗春雄専務理事は「人間が普通に生活する上での影響は非常に低いということがわかりやすく示された。木材の流通基準が出しにくい中で参考になるのではないか」と話している。(オルタナ編集委員=関口威人)

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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