2月2日と3日、三重県津市と松阪市で、CSR経営の講演をさせて頂きました。3日は日本経済新聞での先輩である原田勝広編集委員(明治学院大学教授)と対談しました。
NPO法人Mブリッジの協力を得て、2日間で300人ほどの方に来て頂きました。心から御礼申し上げます。
今回の講演で知り合った万協製薬の松浦信男社長が、「日本一の変態」なのです。こう書くのも勇気がいることですが、まあご本人が自称しておられるので、敢えて書きました。
ただし、この「変態」の定義が世の中と少し違っていて、筆者なりの解釈をすれば、「既存の価値観にとらわれない」「むしろ既存の価値観をぶっ壊すほどのパワーがある」「地位や肩書きにこだわらず、人と付き合える」――と、まあ、むしろ良い意味で筆者は捉えています。
どれだけ「変態」かというと、このホームページを見れば、すぐに分かります(笑)。
でもこのスパイダーマンに扮した社長の姿を見ると、ひょっとしたら「本物の変態なのでは」と危惧させられます(笑)。
しかし、この人から直接、これまでの社業の様子をお伺いすると、これはホンモノのCSR経営者だと思いました。
まず、万協製薬は1995年の阪神淡路大震災で被災し、神戸市長田区の本社屋も工場もすべて失い、着の身着のままで松阪市近郊の多気町に来られたとのことです。
そこから年商20億円の製薬会社に復活させたのもすごいですが、何より、社員や地域を大事にしておられることが良く分かりました。
最近では、地元の相可高校の女子高生チームと共同で高校生ブランドのハンドジェルを発売しましたが、その過程では「こんなパッケージじゃ売れへん!」と高校生から指摘されるなど真剣なやり取りがあり、涙と笑いの開発秘話がたくさんあったとのことです。このほか、地域とのつながりや震災支援など、多くの活動をされています。
2009年度日本経営品質賞、2011年度環境経営優秀賞受賞を受賞されたほか、テレビ東京「カンブリア宮殿」にも出演されました。社会からの評価も高まりつつあります。
ご本人のブログでCSRについて「まるで、パチンコの新機種の名前のようであるが、これは、コーポレート ソーシャルリスポンサビリティ つまり、企業における社会的責任の意味をあらわす」とふざけているが、それでいてけっこう真面目にCSRに取り組んでおられるところが面白い。
松浦社長のような「明るく元気なCSR」は、周りを巻き込むパワーを感じさせます。こんな経営者が増えたら、日本の企業と地域の関係も変わっていくことでしょう。(オルタナ編集長=森 摂)