東京電力福島第一原発事故について調査してきた「福島原発事故独立検証委員会」(いわゆる「民間事故調」、委員長・北澤宏一・前科学技術振興機構理事長)は28日、13章の404ページに及ぶ調査・検証報告書をまとめ発表した。
「歴史的・構造的要因の分析」では、原子力の安全についての国や電力側の技術的思想や事故対策などの不備を指摘し、政府、電力会社の「もたれあい」、規制当局としての原子力安全委員会の対応能力のなさを指摘した。
民間事故調は「政府」「国会」とは別の立場から事故を検証。一般財団法人日本再建イニシアティブ(船橋洋一理事長)が昨年10月に設置した。
北澤委員長ら科学者や原子力の専門家、法律家など6人の委員で構成され、当時首相の菅直人氏や当時官房長官の枝野幸男経済産業相などの政治家や原子力安全・保安院、原子力安全委員会、官僚関係者などの約300人から話を聴いた。東京電力は聴取に応じなかった。
報告書の第一部「事故・被害の経緯」では、事故発生後の現場や首相官邸など国の状況対応などの問題点を指摘。当時の菅直人首相の現場への介入の異常さを指摘。「リスクコミュニケーション」の問題として政府の国内外への情報発信の仕方と国民の不安に言及している。(オルタナ編集部=石井孝明)