公益財団法人の自然エネルギー財団は、2012年3月9、10日の2日間、「REvision2012-‐日本の新しい エネルギービジョン」という、シンポジウムを開催した。
ソフトバンク社長で財団設立者・会長の孫正義氏が講演した。孫氏は発送電分離、電力自由化によって「原発に頼らない社会を実現する」と主張した。
孫氏は講演で事故直後、3カ月会社を休職し、東日本大震災の復興のための活動に全力を尽くそうと考えたことを明かした。特に福島の原発事故は衝撃を受け「エネルギーのことをほとんど考えてこなかった自分を恥ずかしいと思った」という。「原発に頼らない社会を作り出す貢献をするために、自然エネルギー財団を作った」と思いを述べた。
孫氏は先進諸国の中で、日本はエネルギーの自由化が遅れ、発送電分離が実現せず、また電力の独占が残る数少ない国と指摘した。社会的正義の観点から、事故を起こした東京電力が独占を享受できることは許されないとした上で、電力自由化と発送電分離によって自由な企業活動と競争で、社会を変革しなければならないと語った。
さらに以前構想を立ち上げたアジア・スーパーグリッド構想を繰り返し表明。各国が総配電網をつなげることで、アジア諸国の低コストの発電を使い、エネルギーを融通し合う未来の夢を述べた。
シンポジウムでは理事長・トーマス・コーベリエル氏(元スウェーデン・エネルギー庁長官)、政策イノベーション部ディレ クター・飯田哲也氏などが参加。日本では規制などで統一性のある電力取引市場がつくられていないこと、また効果のある公的支援が少ないことにより、普及が遅れていることを指摘した。
同財団はモンゴル国立再生可能エネルギー研究所との自 然エネルギーポテンシャルについての共同研究プロジェクト、ドイツ在住NPO デザーテック財 団との情報共有プロジェクトの二つについて、覚書を交わしたことを発表した。
同財団によれば2日間で計800人が参加、Ustreamでの 実況視聴は8万人以上に上った。映像や会議の様子は、近日中に財団ホームページにて公開される。
またソフトバンクは12日、モンゴルの投資会社ニューコム社と、ゴビ砂漠での風力・太陽光発電開発に向けた合意文書に調印した。砂漠の風況や太陽光の発電能力などに関する調査会社「クリーン・エナジー・アジア」を来月モンゴルに立ち上げる。
開発予定地は24万ヘクタールで、山手線40個分に相当し、東京都を上回る広さとなるという。(オルタナ編集部)