働き盛りの若手世代が、防災やエコ、地域コミュニティを切り口に、これからの自治について考え、発言するイベント「Tokyo Community Crossing(トーキョー・コミュニティ・クロッシング、TCC)」が17日、東京都内で開かれた。
東日本大震災から1年が過ぎ、防災への取り組みとして「自助」(自らを守る)「公助」(行政による備え)「共助」という3つの局面で必要な対策について、集まった約240人で話し合った。
身近にあるもので乗り切る
はじめは、阪神・淡路大震災をきっかけに国内外でユニークな防災活動を企画・展開するNPO法人プラスアーツ(大阪市西区)による「地震イツモ講座」。現在想定される首都直下型地震のメカニズムが紹介された後、地震の際に役立つと思われるものをかばんの中から1つ出し合うグループワークが行われた。
同法人は、このワークを通じて「防災グッズを買い揃えるだけでなく、身近にあるもので知恵を使って活かして乗り切る意識も持って欲しい」と訴えた。
例えば、大判ハンカチは、止血用の包帯にも、火災時のマスクにも、敷物などにも使える。新聞紙や大型のごみ袋、食品用ラップなども様々な用途に使えるので、常備しておくと便利だという。
自治体だけには頼れない
続いて、「自治による防災を考える」と題したパネルトークでは、街の美化活動を行うNPO法人グリーンバード副代表で港区議会議員の横尾俊成さんが、自治体による公助の現状を説明した。
横尾さんによると、港区では昼間人口100万人対して、区の食糧備蓄は5万人分。防災訓練への参加率は3%にとどまるなど、食料備蓄も避難訓練もまだ十分でない現状が示された。
横尾さんは「行政だけには頼れないという意識も大切。普段から近所で顔の見える関係を作ったり、ゆるやかなネットワークの中で日々情報交換を行うといったことも大切」と呼びかけた。
日常の関係性が非日常で役立つ
最後の「コミュニティの可能性について」というテーマのパネルトークでは、日本全国の地域活性化に関わる企画を手掛けるstudio-L代表・山崎亮さんから、テーマをもって活動する地域団体をつなぐ場づくりの事例が紹介された。
山崎さんは、プライバシーが重視された1970-80年代の住まいや暮らしを引き合いに「しがらみから脱出しただけでは問題解決しない。
テーマ型の地域団体をつなぐコミュニティによって、地域の信頼と安心を取り戻す必要がある」と指摘。その上で「日常から関係性を耕しておくことが、非日常に役立つのではないか」と語った。
TCCでは今後、働き方や子育てなどもテーマに、地域コミュニティの未来を考え、実践する場づくりを継続していくという。(オルタナ副編集長・木村麻紀)