東京電力がビルや工場などの事業所に電力値上げを要請していることについて、 自民党の河野太郎議員がブログで「東電の要請は一方的なものであり、法的にも断ることができる」と指摘した。
これに対して、東京電力の広報は「コメントできない」と答えており、不透明な状況が続いている。契約を巡って訴訟が起きる可能性もある。
今回の値上げは、ビルや工場など特別高圧(標準電圧20000ボルト以上)と高圧(標準電圧6000ボルト以上)の電気を契約している事業所に対して東電が文書で要請しているもの。
値上げの対象となるのは、約24万件の事業者。販売される電力は毎時1770億kWhに達する。これは、同社の販売電力量の約60%を占める。
東電によると、平成24年度の火力電力の燃料費などが現行料金の前提より6865億円増加するため、特別高圧と高圧の契約者に対して、2012年4月以降、電気料金の値上げをしたい考えだ。
特別高圧と高圧の電気契約は、一般家庭との契約と違って、東京電力と契約者が二者間の随意契約となっている。このため、契約期間中に一方的に契約内容を変更できないため、東京電力は「お願い」という言葉を使っている。
「お願い」の内容は、特別高圧(標準電圧20000ボルト以上)の顧客で1kWhあたり2円58銭、高圧の顧客(標準電圧6000ボルト以上)で1kWhあたり2円61銭が、現行の電力量料金単価に一律に上乗せされる。平均して17%の値上げだ。
しかし、これはあくまでも「お願い」にすぎない。同社で広報を担当する細田千恵さんは、「法的拘束力があるかどうかについてはコメントできない。値上げを公表してから、約15万件のお客様と接触してきた。厳しいご意見もいただくこともあるが、引き続き理解を求めていきたい。値上げに同意しなかった企業への対応は現時点では、未定」と回答するのにとどまった。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)
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