がれき広域処理の再考を――長野、鳥取など知事6人がスクラム

長野県の阿部守一知事

東日本大震災のがれき広域処理の再考を――。県知事6人が11日、環境省と民主党に対して、国からの災害廃棄物の広域処理受け入れの協力要請について共同で申し入れをする。

きょう長野県の阿部守一知事と鳥取県の平井伸治知事が代表して、民主党の樽床伸二幹事長代行と高山智司環境大臣政務官に要請文を手渡す。

がれき処理を巡っては政府・環境省が地方自治体に対して受け入れを求めたが、6県は特に放射線の規制値の在り方や周辺環境への影響が不明確だとして、逆に政府を問いただす。広域の知事がスクラムを組み、政府や政権党を問いただす動きはきわめて異例だ。

今回の共同要請は長野県の阿部知事、鳥取県の平井知事のほか、三重県の鈴木英敬知事、徳島県の飯泉嘉門知事、高知県の尾崎正直知事の5人が共同で起案したが、これに新たに広島県の湯崎英彦知事が加わった。

要請では、汚染濃度が低い災害廃棄物の処理について①関西広域連合では独自に埋め立ての目安値を2000ベクレル/キログラムとしているが、国の広域処理のガイドラインで8000ベクレル/キロとしていることについて、国民の理解を得られるようにする②最終処分場から出る放流水、焼却施設からの排ガスなども含めた安全性についても、十分な情報公開と説明責任を果たすこと――などを求めている。

共同要請の全文は次の通り。

1 今回の災害廃棄物には、微量とはいえ放射性物質が含まれる可能性があることや広域輸送には相応のコストがかかることを勘案すると、広域的な処理は最小限にすることが必要であると考える。対象となる災害廃棄物の量や現地における仮設焼却炉の整備状況あるいは緑の防潮堤等被災地内での処理についての国の考え方等を含め、広域処理の必要性及び処理量やスケジュールを含めた全体計画を具体的に示すこと。

2 焼却灰の処分地の確保が受入検討にあたっての支障となっていることから、受入側の自治体内で最終処分を行うことが困難な場合は、国が直接焼却灰の処分先との調整を行うなど、最終処分場や再生利用施設の確保に努めること。

3 汚染濃度が低い災害廃棄物の処理について、例えば関西広域連合では独自に埋め立ての目安値を2000ベクレル/キロとしているが、国の広域処理のガイドラインで8000ベクレル/キロとしていることについて、国民の理解を得られるよう、最終処分場から出る放流水、焼却施設からの排ガス等も含めた安全性について、十分な情報公開と説明責任を果たすこと。また、アスベストやダイオキシン等放射性物質以外の対策も含め、その安全性と安心確保のための具体的な対策についても明確に示すこと。

4 汚染濃度が低い災害廃棄物の処理に当たっては、住民の安全・安心を確保するため、放射性物質汚染対処措置法の対象都県と同様に、モニタリングによる空間放射線量率や放流水の測定など、特措法による特別な処理基準等を具体的に示すこと及び実行性が担保できる方法を示すこと。

5 災害廃棄物の広域処理の受け入れに伴って生じる焼却及び埋め立てに係る各種費用及び最終処分場への支援、並びに万が一の風評被害等に対しては、国が十分な財政負担・補償を行うことをただちに明確にすること。

6 以上の他、各県からの質問等については、明確で迅速な回答を行うこと。
(オルタナ編集部=赤坂祥彦)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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