ドキュメンタリー映画「内部被ばくを生き抜く」は、内部被ばくを、日本人が避けて通れない課題として取り上げた作品だ。
本作は、広島、チェルノブイリ、イラク、福島で被ばくに関する医療活動に従事してきた4人の医師が内部被ばくに関して積み重ねてきた知見について語る姿を映し出す。そのほかにも、福島・二本松で生き続けることを決意し、放射能汚染から子どもを守るために奮闘する家族などが登場する。
スモルニコワ・バレンチナ氏は、チェルノブイリ原発から100キロほど離れたゴメリ州で小児科の臨床医師として、原発事故の影響を受けた子どもたちの治療をしてきた。「放射能に関して、日本人はあまりにも無知だ。楽観的に対処してはならない」と警鐘を鳴らす。
軍医として働いていた広島で被ばくした肥田医師は「内部ひばくは避けられない。放射能汚染に対して、私たちができることは、体に悪いと言われることはしないで、生き抜く力を集中的に高めていくことだ」と語る。
内部被ばくに関しては、未知の部分も多く、理解も容易ではない。それと、どう対峙するかの手がかりをつかめる一作だ。(オルタナ編集部=赤坂祥彦)