星や波の動きを読みながら、伝統航海カヌー「ホクレア」で、ハワイから日本へ航海した経験を持つ内野加奈子さん。10年間のハワイ滞在を経て、現在は、持続可能な次の100年を創りだす人材を育成する「土佐山アカデミー」(高知市)でエデュケーションディレクターを務める。
「自然の変化を読み取る本質的な力は、仕事や生活にも生かせる。人間も生態系の一部として原点に立ち返り、揺るがない生き方をしてほしい」と語る。(聞き手・オルタナ副編集長=吉田広子、オルタナS副編集長=池田真隆)
■ コンパス無し、星や波の動きを頼りに日本まで航海
――ハワイに住んでいた頃に、伝統航海カヌー「ホクレア」で、数多くの航海を体験したそうですね。ホクレアではどのような航海をするのですか。
海図やコンパスを持たず、星や波の変化、海鳥や風の動きなどを読み取って、航海します。クルーは11人で、ナビゲーターと呼ばれるベテランが舵を取ります。
星は全部で200種類くらいあり、クルーは全員、それぞれの位置と角度を覚えます。そうすると、地球を覆う巨大な「絵」ができます。自分を中心として、大きなコンパスが動いているようになり、どんな場所にいても自分がどこにいるのかが把握できるようになります。
自然の中にはたくさんのヒントが隠されています。そのヒントを見つけ出して、何が起きているのか変化を把握し、前に進んでいきます。
海と空だけしか見えないカヌーから、陸が見えたときには、大地や緑、そこに暮らしがあること、それだけで奇跡的だと感じます。
■ 自分を支えるモノが直に見える暮らしは贅沢