国のエネルギー政策の見直しを議論する経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本問題委員会は24日、新たなエネルギー政策における原発依存度の選択肢について0%、15%、20~25%、35%の4案とした。これに対して委員らから「35%案は脱原発依存の方針に反する」などと反発が上がっている。
現行のエネルギー基本計画では原発を基幹エネルギーと位置付けているが、昨年の東日本大震災にともなう東電原発事故を受け、政府は昨年10月に「脱原発依存」を掲げて委員会を発足した。ところが産業界出身の委員らは、東電原発事故の原因究明が終わらない内から「事故を通じて安全性が高まった」と唱えるなど、原発維持を繰り返し主張し続けた。
また、選択肢の設定をめぐっても「(事務局提案では)国民が選択すべき価値観や社会像、政策の方向性が分からない」とする委員8人の連名意見を十分に汲み取ったとは言えず、前提条件で結果が大きく変わる経済モデル試算に議論が大きく引きずられた感が否めない。
NGOらでつくる団体「eシフト」は同日、「20%以上の選択肢は原発の新設や更新を前提としている」として、原発0%を議論の柱とすることなどを求める声明を同委員会に提出した。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年5月25日