オスプレイ配備で夜間の離着陸増加――沖縄・普天間基地、同機は本州へも飛来

米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの沖縄配備に向けて防衛省は13日、米国が行った環境審査結果を沖縄県に示した。その中で、米海兵隊普天間飛行場(宜野湾市)に同機が配備された場合、年間運用回数が現在使用されている輸送ヘリコプターのCH46と比較して11%減少する一方、22時から7時までの深夜早朝の時間帯では同76回から280回(約3.7倍)と大幅に増加することが明らかとなった。

MV22オスプレイ(米海兵隊サイトから引用)

オスプレイは回転翼の角度を変更することにより、ヘリコプターと同様に垂直離着陸できるのに加えて、固定翼機に匹敵する高速性能と航続距離を備えているのが特徴。米軍では2005年末から運用を開始し、米本土やハワイなどに加えて沖縄への配備を進める。

ところが同機は開発段階から墜落事故が多発。12年4月にもモロッコで訓練を行っていた1機が墜落し、乗員4人の内2人が死亡した。オスプレイの10万飛行時間当たりの事故率は1.93で、現行機種のCH46の1.11を大きく上回る。米本土でも騒音や安全性への懸念の声が上がり、ニューメキシコ州内で計画されていたオスプレイの訓練がこの6月に棚上げされる事態となっている。

オスプレイ配備で本島全域が運用エリアに(米軍資料から引用)

オスプレイが沖縄に配備されれば、普天間飛行場だけでなく、米空軍嘉手納基地や県内69か所に設けられたヘリパッド(着陸帯)などにも離着陸し、本島全域で運用されることになる。米海兵隊伊江島補助飛行場でも年間訓練回数がCH46の2880回から6760回へと2.3倍も増えると予想され、環境や住民への負荷が高まるのは必至だ。

防衛省は今回の結果を踏まえて「いかなる重大な環境問題も生じないことを確認した」と結論付けるが、沖縄県民は納得していない。防衛省の説明を受けた沖縄県の又吉進・知事公室長は13日、「県民が大変不安を抱いており、県としては基本的に反対」と述べたほか、宜野湾市基地渉外課の担当者も14日に「安全性に疑問があり、配備に断固反対している」と語った。

沖縄県内では、オスプレイが普天間飛行場に配備されれば同基地機能の強化と固定化につながるとの懸念が強い。ちなみに米軍の計画によれば、同機は米海兵隊岩国飛行場(山口県岩国市)など、本州にも飛来する。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年6月14日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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