22日夕方に首相官邸前で行われた関西電力大飯原発の運転再稼働に対する抗議行動は、午後6時半の時点で、先週の1万2千人を大きく上回る約3万人(いずれも主催者発表)が集まった。その後の情報では最終的な参加者数は約4万5千人とも伝えられており、民意を無視した政府への怒りが日を追うにつれて増大していることが示された形だ。
■「野田首相は国民をナメた」
首相官邸前での抗議行動は、市民らでつくる「首都圏反原発連合」らが毎週金曜日に実施しているが、参加者数は回を追うごとに増加。先週15日には1万2千人が参加したが、「赤旗」など一部を除き、報道したマスメディアは皆無だった。
「今日の抗議行動もツイッターなどを通じて集まっている。テレビや新聞は報じないのに、これだけの人が来る」。永田町の歩道に延々と続く参加者の列に並びながら、哲学者の柄谷行人氏はそう話した。
柄谷氏は官邸前の抗議行動に毎回足を運んでいるという。「組合などの動員によらず、(自発的に)人が集まる状況は六〇年安保以来だ。政治家は人々のこうした変化が分からないのだろう」。民意を無視する形で再稼働を決めた野田首相に対しては「あの再稼働声明はアホ。国民をナメたから、これだけ人が集まった」と一刀両断した。
■「紫陽花(あじさい)革命」始まるか
参加者の中で特に共通するのは、民意が尊重されないことへの危機感だ。都内から参加した夫婦は「国会前での抗議行動は初めて。(東電原発事故が)収束していないのに再稼働するのはおかしい。私たちの意思を見せるしかない」と話す。
また、仕事帰りにスーツ姿で駆け付けた男性は「(国会前は)今日で3回目。やっぱり国民がアクションを起こさないといけない。首相が代わっても政治のシステム、国民の意識が変わらないと現状は動かない」と語り、「民意が示されれば、国民の意識も変わるかもしれない」と抗議行動に望みを託す。
市民の声を報じないマスメディアを見限り、政治に民意の反映を求める人々が街頭へとあふれ出した。ツイッター上では誰ともなくハッシュタグ「#紫陽花(あじさい)革命」が流れ、現場にはあじさいの花を片手にシュプレヒコールを上げる人の姿も。ジャスミン革命ならぬ「あじさい革命」が始まろうとしているのか。(オルタナ編集委員=斉藤円華)2012年6月22日