【6月29日官邸前ドキュメント】永田町を揺さぶる市民の抗議

首相官邸前での関西電力大飯原発の運転再稼働に対する抗議行動が、ついに主催者発表で約20万人(警察発表で2万人弱)に達した。政党などに組織されない雑多な市民の直接行動が、永田町を大きく揺さぶっている。

「人々の声を聴け」首相官邸前で抗議する参加者=29日夜、首相官邸前で

同行動は市民らで作る「首都圏反原発連合」が、ツイッターなどを通じて毎週金曜日に呼びかけているもので、野田首相の8日の再稼働宣言以後、参加者数が急増。今回は開始時刻の午後6時以降、4万5千人が集まったとされる先週22日を上回る速さで、参加者が官邸前を目指して歩道に長い列を作った。

列の最後尾は霞が関付近に及び、みるみる伸びていく。「フェイスブックで今日の行動を知った。ずっと来たかった」と話すのは、都内の会社からの仕事帰りという男女ペア。ワイシャツ姿の男性2人は、何と勤務中にもかかわらず職場を抜け出してきたという。

「国民の怒りも爆発」=29日夕、首相官邸前で

国会議員も無関心ではいられない。抗議の現場にはおなじみの野党党首はもとより、民主党の川内博史衆院議員、三宅雪子衆院議員、みんなの党の川田龍平参院議員らも次々と姿を見せた。

増え続ける参加者は午後7時半頃、ついに計6車線ある車道いっぱいにあふれ、官邸前を埋め尽くした。現場は一時騒然とした空気に包まれたが、同40分頃に主催者が「今日ここに10万人が集まっても原発を止められないが、これだけの人々が集まったのは事実。さらに多く集まるため、今日は解散しましょう」と呼びかけると、参加者は30分ほどで整然と歩道に引き上げた。警備にあたる警視庁が強圧的な規制を行わなかったことも奏功し、けが人や逮捕者はゼロだった。

川崎市在住の68才の男性は、末期がんをおして杖を突きながらの参加。「原発事故が起きたことに痛恨の念があるが、指揮系統もないのにこれだけ人々が集まった。若い人も多い。この運動は本物だ」と感慨深げに語った。(オルタナ編集委員=斉藤円華)2012年6月29日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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