今年7月からの自然エネルギー固定価格買い取り制度(日本版FIT)を機に、世田谷電力や小田原電力など、地域が独自の発電事業に取り組み始めた。
事業の形態は少しずつ違うが、いずれも自治体や市民が主体となって、太陽光など自然エネルギーの供給を目指しているのが共通点だ。今後、こうした「ご当地電力」や「市民電力」が全国各地で続々と生まれそうだ。
東京・世田谷では、「脱原発」を掲げて当選した保坂展人区長が「世田谷電力」プロジェクトに着手した。
区と「世田谷サービス公社」は、太陽光パネルを大量一括購入し、区民が安価でパネルを設置できる「せたがやソーラーさんさん事業」(仮称)をスタートさせる。
出力3.4キロワットの標準型パネルの場合、国と都の補助金約46万円を活用して、費用を76万円台に抑えた。
小田原市では、市と民間企業からなる「再生可能エネルギー事業化検討協議会」が「小田原電力」の設立を目指し、7月から本格準備に入る。
12月には太陽光発電の会社を設立する。市内の公共施設に太陽光パネルを設置する「屋根貸しソーラー」なども展開する。
神奈川県相模原市の「藤野電力」は、太陽光パネルとバッテリーなどを組み合わせた「ミニ太陽光発電システム」の組み立てワークショップを開催する市民グループ。東日本大震災を機に、建築家やデザイナーなど地域住民が中心となって設立した。
藤野電力の小田嶋電哲さんは、「電気はお金を払えばコンセントから流れてくるもので、今まで消費者は受身。ところが自分でも電気が作れるという体験をして、はっとさせられた」と話す。
これまで全国各地でワークショップを20回ほど開催し、のべ200人弱がキットを組み立て、発電を体験した。
■ 「電力供給を市民の手に取り戻したい」