政府のエネルギー・環境会議で、2030年代の原発ゼロを目指すなどとする新たなエネルギー戦略を決定した14日の会議の議事録が、このほど公開された。形式的な意味合いが強いとされる同会議だが、国民的議論で大多数の国民が選択した「30年時点での原発ゼロ」を後退させる内容が、19分の会議で決まったことが分かった。
同会議は非公開で行われ、野田佳彦首相ら16人が参加。議事は古川元久国家戦略相が「革新的エネルギー・環境戦略(案)」の説明を行う形で進んだが、発言は外務省の加藤敏幸政務官が「国際社会との関係でも検証を行い、(戦略を)不断に見直していく必要性があることを強調したい」と述べたのみ。質問はゼロで、出席者から「異議なし」と声が上がった。
新たなエネルギー戦略では、原発ゼロ方針と矛盾する核燃料サイクルの継続が盛り込まれた。また、すでに着工している原発が稼働すれば、40年廃炉ルールを適用しても、50年代時点での運転が不可能ではなくなる。しかし同議事録にこうした問題を議論した形跡はない。(オルタナ編集部=斉藤円華)2012年9月28日