東京電力が、原子力や火力など電源別の発電実績を示した資料の一部を4月6日ごろ、ホームページから密かに削除していたことが明らかになった。その直後の4月8日、東電は今年の計画停電の全面中止を発表した。計画停電の実施や中止を巡っては、同社の本当の発電能力が問題の核心になっていた。ホームページからの突然のデータ削除は、このデータを開示し続けると、東電が不利な立場に追い込まれることを恐れたためではないか、との見方も出ている。
問題の資料は、「東京電力の原子力データライブラリ」内にある「東京電力の原子力設備を一目で見ると?」というページだ。以前は、トップページから「原子力」、「情報公開のとりくみ」と辿って見ることができていた。
該当ページでは、東電の発電設備出力の原子力、水力、火力、新エネの割合と合計が表になっていた。2009年度末の実績(他社受電分を含む)として、合計7769万KW(そのうち原子力は1819万KW、火力は4486万KW)と掲載。また、原子力発電所各号機の概要や原子力発電所の建設計画なども同ページ内には公開されていた。この他、原子力発電所の地震対策のページや東電の火力発電所についてのページなども削除されているようだ。
東電は3月下旬、今夏の最大需要見込み5755万KWに対して、4995万KWの供給能力しかないため、計画停電を続行するとしていた。しかし、4月8日になって突然、「お客さま各位の節電へのご関心、ご協力が広範囲にわたって浸透してきた結果、需給バランスは著しく改善を見せております」として、計画停電の中止を発表した。
環境エネルギー政策研究所(ISEP)は3月23日、大口需要家との需給調整契約の戦略的活用を行えば、当初から計画停電は不要との報告書を発表していた。
東京電力が突然、ホームページから問題の資料を削除したのは、「計画停電の必要性や、今後の電力需給を巡る論争において、不利な立場になることを恐れた」と見られる。
また、突然のデータ削除についてオルタナが東京電力広報部に電話で理由を聞いたところ、「お答えできない」という回答しかなかった。東電のこうした情報開示の姿勢には今後、批判が集中しそうだ。(オルタナ編集部=吉田広子)