オルタナの脱原発宣言
「原発」は、いまや最大の環境問題であり、CSR(企業の社会責任)のテーマである。原発問題に対する態度を曖昧にしたままで環境やCSRを語っても、説得力はない。
福島第一原発から放出された放射能は史上最悪規模の環境汚染であり、企業としてこれにどう向き合うか、まさに企業の社会責任を問われる事例だからだ。
CSRの世界では「ステークホルダー」という言葉が良く使われるが、地域社会、そこに暮らす人々、私たちの国土や国民は、企業にとって最大のステークホルダーであり、それに対する配慮なくして、企業の存続はあり得ない。
結局、原発とは一度冷却機能を失うと人類の手に負えなくなるという極めて高いリスクを背負った装置であり、これに人類の未来を託すわけには行かない。
特に日本は地震大国であり、各地の原発も常に地震や津波の危機にさらされ続けている。福島で起きたことが他の原発で起きないとは誰も保証できない。
オルタナは、原子力発電所の稼動数を順次減らし、原発に頼らない経済社会を目指すとともに、政府が自然エネルギーを推進する政策をとることを強く求める。
自然エネルギーはコストが高いという論調も多いが、自然エネルギーの全量買取り制度を拡充し、量的拡大を進めればコストは必ず累進的に下がる。自然エネルギーが拡大するかどうかは、すべて国の制度設計次第である。
2009年9月、鳩山由紀夫首相(当時)は「2020年までに温室効果ガス25%削減」を国際公約した。これも原発抜きでの実現が危ぶまれているが、自然エネルギーの普及と、節電などライフスタイルの転換によって、原発に頼らなくても可能だと考える。
オルタナは「脱原発と25%削減は両立する」とバックキャスティング的に立ち位置を定め、これを達成するためのあらゆる政策と、企業のたゆまぬ努力、市民活動を支持し、積極的に報道していく。
2011年7月22日
オルタナ代表取締役・編集長 森 摂