記事のポイント
- 反ESGは脱炭素の流れに対する「揺り戻し」である
- 脱炭素に向けては金融だけでなく政府の役割も重要に
- 金融は企業にトランジションを促し、政府は税制整備で支援を
米国の「反ESG運動」は脱炭素の流れに対する「揺り戻し」――こう見るのは、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストだ。グリーンウォッシュへの疑念やダイベストメントに対する反発が背景にある。同氏は金融だけでなく政府の役割の重要性を訴える。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

金融だけの脱炭素には限界がある。税制などの整備が必要だ。そのうえで日本については、カーボンプライシングやカーボンタックス(炭素税)の整備を急がなければならない。
金融は融資を通じて企業の脱炭素移行を支援するなどして、その役割を果たす。高いGHG排出量の企業に対しては、欧州の金融機関を中心に融資を打ち切ることも選択肢として、排出量削減を迫ってきた。
金融機関が果たす役割への期待は大きくなっていた。COP26ではGFANZ(ネットゼロのための金融同盟)を結成した。
傘下に銀行や保険、アセットマネジメントなど金融セクター別のグループを組織し、加盟企業にネットゼロ目標に向けた行動指針の策定などを求めてきた。
■「反ESG」はグリーンウォッシュやダイベストメントが原動力に
■脱炭素推進への「揺り戻し」であり「踊り場」となっている
■金融はトランジション(脱炭素移行)を、政府は税制整備で後押しを