記事のポイント
- 11月30日からCOP28がアラブ首長国連邦で開催される
- 焦点の1つが、「グローバルストックテイク(GST)」だ
- 2035年に向けて野心的な目標設定を促す政治的メッセージが出るかが注目される
11月30日からCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)がアラブ首長国連邦(UAE)で開催される。焦点の1つが、「グローバルストックテイク(GST)」だ。世界の進捗を科学的に見直すプロセスで、2035年に向けて野心的な目標設定を促す政治的メッセージが出るかが注目される。(オルタナ副編集長=吉田広子)

「グローバルストックテイク(GST)」とは、パリ協定に基づいて定めた各国の温室効果ガス(GHG)排出削減目標(NDC)を世界全体でどの程度達成できたか、進捗を確認する仕組みだ。2023年に初めてのGSTが実施される。パリ協定では、5年ごとにNDCを見直すことになっているため、次の2035年に向けて目標の引き上げを促す政治的なメッセージが出るかどうかが注目されている。
国連気候変動枠組条約事務局(UNFCCC)が9月に公表した「第1回グローバルストックテイク統合報告書」は、パリ協定が掲げる1.5度目標の達成には、現状の世界全体の温室効果ガス排出量が整合していないと指摘した。世界全体で温室効果ガス排出量を2019年比で2030年までに43%、2035年までに60%削減するべきとし、それを実現できるように各国のNDCを強化するように求めている。
COP28開催に先立ち、スルタン・アル・ジャーベル・COP28議長は、グローバルストックテイクに対する野心的行動を高めていくことを各国に要請した。声明の一部は次の通りだ。
「グローバルストックテイクは、『1.5度の約束』を手の届く範囲に維持する軌道に乗せていくためにも、私たちがすべきことが数多くあることを示している。COP28ですべての当事者が団結し、行動し、野心的なグローバルストックテイクを確立することが求められる。COP28に向けて野心を高めていくことを強く呼びかける」
日本のNDCは「2030年に46%削減(2013 年比)」だ。これを50%に引き上げること、さらに野心的な2035年目標を設定することが求められている。