記事のポイント
- 北海道産の白樺間伐材を使ったスウェーデントーチが発売された
- 木材消費を促し、日本の林業や生態系保全に貢献することを目指す
- 木材チップ以外で利用が進まない広葉樹の新たな使用用途になりそうだ
アウトドア用品を展開するワールドライブ(宮城県蔵王町)はこのほど、北海道十勝産の白樺(しらかば)間伐材を使ったスウェーデントーチなどを発売した。木材消費を促し、日本の林業や生態系保全に貢献することを目指す。木材チップ以外で利用が進まない広葉樹の新たな使用用途になりそうだ。(オルタナ副編集長=吉田広子)

「地元・蔵王町に戻り、10年ほど前から森で暮らすなかで、木がどんどん枯れていく様子を見てきた。ドングリが減ってクマが山から降りてきたり、土砂崩れの原因になったりと、負の循環が進んでいる。何とか森を守りたいという思いがあった」
ワールドライブの渡辺悟士社長は、国産広葉樹を使った製品開発の経緯を語る。もともとはIT関連の仕事をしていたが、2022年に国産広葉樹を使ったアウトドアブランド「WOODSTOCK(ウッドストック)」を立ち上げた。地元のヤマザクラの間伐材を使った木材製品を製造・販売する。
樹種のバリエーションを検討するなか、「白くて美しい北海道産の白樺にあこがれがあった」渡辺社長は、北海道で原木探しを始めた。日本政策金融公庫帯広支店などが、北海道浦幌町の林業関係者と渡辺社長をつなぎ、マッチングが実現。それまで廃棄されていた白樺間伐材の活用は、地元林業者にとっても新たな収益源になる。

今回、新たにラインナップに加わったのが、十勝産の白樺間伐材を使った3製品だ。一つは、木の幹に切り込みを入れてたき火に使う「スウェーデントーチ」。スウェーデントーチとは、キャンプ人気の高まりとともに日本で広まったアイテムで、暖を取ったり、お湯を沸かしたり、料理を作ったりできる丸太だ。ウッドストックのスウェーデントーチは、白くてなめらかな木肌が美しく、ススや煙が少ないのが特徴だ。
このほか、板ごと焼いてバーベキューできる「ウッドプランク」(木の板)、木と炭を組み合わせた「ウッドグリル」を発売した。燻製のように白樺の香りが食材に移り、料理がおいしくなる。いずれも使い切りタイプなので、木材消費を促す。

■ 日本の広葉樹の94%が木材チップに
日本は国土の約7割を森林が占める「森林大国」だ。人工林(主に針葉樹林)と天然林(主に広葉樹林)に大きく分けられ、その面積はほぼ半分だ。しかし、広葉樹材はこれまで、硬くて加工しにくいといった特徴から、針葉樹に比べて多用途展開が進まなかった。「令和4年木材統計」(農林水産省)によると、広葉樹材の94%が木材チップになるという。
渡辺社長は「国産材を使うことが、日本の森を守ることにつながる。スウェーデントーチやウッドプランクなどを通して、より多くの人に広葉樹の良さを味わってもらい、付加価値を高めていきたい。森林資源の循環利用を進める一助になれれば」と意気込みを語った。