記事のポイント
- 英政府は2027年までに国境炭素税を導入すると発表した
- 適用となるのは鉄鋼、アルミニウム、セラミック、セメントなどの輸入品だ
- 環境規制の緩い国の輸入品に関税を課すEUの動きを英国も追う
英政府は12月18日、2027年までに国境炭素税を導入すると発表した。鉄鋼、アルミニウム、セラミック、セメントなどに国境炭素調整措置(CBAM)を適用する。国境炭素税は、環境規制の緩い国の輸入品に課す関税だ。国境炭素税についてはEUが先行して2026年からの課税開始に向けて動いており、すでに事業者に対する炭素排出量の報告を義務化している。こうした動きに英国も追随する形だ。(オルタナ編集部・北村佳代子)

「今回の措置によって、鉄鋼やセラミックなど炭素集約な海外製品は、英国で生産された製品と同等の炭素価格に直面することになる。世界がネット・ゼロに移行していく中で、英国産業界はこれによって脱炭素投資への自信をさらに深められるはずだ」と英国のジェレミー・ハント財務大臣は声明を出した。
炭素国境調整措置(CBAM)は、鉄鋼、アルミニウム、肥料、水素、セラミック、ガラス、セメント分野の炭素集約型製品に適用される。CBAMの設計・実施や対象製品の詳細リストについては、2024年にさらなる協議を行う予定だ。
英産業界では、先行するEUでCBAMが始動した後、高排出の輸入製品が英国に殺到することを危ぶむ声も出ていた。環境規制の緩い国から安価な輸入品が流れ込むのを阻止し、脱炭素化に向けて真摯に取り組む企業を守る狙いもある。