MDGsの一つ「安全な飲料水を使えない人々の割合を半減する」という目標は、前倒しで2010年に達成された。
日本ユニセフ協会広報室の浦上綾子さんは、「水問題と比べて、トイレが当たり前にある先進国では、途上国のトイレ・衛生問題についてまだまだ知られていない。排泄物をそのままにしておくと、虫や動物を媒介して、人間にウイルスや細菌が感染してしまう。子どもの大きな死因となる下痢や肺炎にもつながる。現地では単にトイレや手洗い場など衛生設備を設置するだけでなく、衛生教育も必要だ」と話している。
こうした社会課題の解決に向けて、CSR(企業の社会的責任)として取り組む企業もある。
ティッシュペーパーやトイレットロールを製造・販売する王子ネピアは2008年、ユニセフの活動を支援する「nepia 千のトイレプロジェクト」を立ち上げた。支援対象国は、東ティモール。キャンペーン期間中のネピア製品の売り上げの一部で、毎年1000世帯以上の家庭でのトイレづくりなどを支援し、病気の原因となる屋外排泄の根絶を目指している。消費者も企業の製品を購入することで支援活動に参加することができる。
MDGsの達成に向けて、消費者を巻き込んだ企業の活動にも期待したい。(オルタナ編集部=吉田広子)