記事のポイント
- 世界経済フォーラムが「グローバルリスク報告書2024年版」を公表した
- 長期的なリスクは「異常気象」を筆頭に、気候変動関連が上位を占めた
- 紛争や社会の二極化等を背景に、「誤報と偽情報」もランクインした
世界経済フォーラム(WEF)は1月10日、毎年1月に開催される年次会合(ダボス会議)に先駆け、最新の「グローバルリスク報告書2024年版」を公表した。今後10年間で最も重要度の大きなリスクの上位5位は、「異常気象」「地球システムの危機的変化(気候の転換点)」「生物多様性の喪失と生態系の崩壊」「天然資源の不足」「誤報と偽情報」となった。「誤報と偽情報」は、生成AIの台頭などを背景に、今後2年間の短期的リスクの筆頭にも挙げられた。(オルタナ副編集長=北村佳代子)

「グローバルリスク報告書」は、世界が直面するリスクに関する認識を高め、コンセンサスを形成し、リスクへの備えとレジリエンスに関する学習を可能にすることを目的に、WEFが毎年1月に公開するもので、今回で19回目となる。
グローバルリスク専門家、政策立案者、業界リーダーで構成されるグローバルリスク・コンソーシアムの1400人超に、2023年9月にアンケート調査を実施し、その結果をもとに報告書を作成した。
短期・長期ともに引き続きリスクの大半を占めているのが環境リスクだ。この環境リスクについては、グローバルリスク・コンソーシアムの中でも見方が割れた。
企業に属するメンバーは、市民社会や政府が考えるよりも、より長い時間軸の中でリスクが顕在化していくと回答した。そのため、戻ることのできない地点を通過するリスクが高まっているとコンソーシアムは指摘する。
短期リスクの上位5位は、「誤報と偽情報」「異常気象」「社会の二極化」「サイバー犯罪やサイバーセキュリティ対策の低下」「国家間武力紛争」となった。今後2年間に主要経済国で選挙が実施されることを踏まえ、報告書は、改ざんされた情報と社会不安の結びつきをリスクの中心に据えた。
